asaka|つかえる心理学

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【デザインは問題解決】ヒトは物と対話している!?|認知心理学

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「デザインする」と聞いて装飾をイメージする人も多いのではないでしょうか。

しかし、デザインとは実は「問題解決」の手段でもあるのです。

 

例えば、今持っているペンを「なぜ使いたいと思い持っているのでしょうか。」

持っていたいからという自己目的な理由と、文字を書きたいからという問題解決の面を

持っています。

 

このように見た目の美しさだけでなく、使いやすさという面で「デザイン」性

持ち合わせています。

 

その面を認知心理学の面から見ていきます。

 

 

 

1.人と物とコミュニケーションをしている

 

相互作用があるという意味で人と物とはコミュニケーションをしていると考える事ができます。

 

人が物を使う時、人と物の間に情報が介在しています。まるで対話のように物を通して

情報の流れがあることがわかります。

 

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このコミュニケーションの過程を2重インターフェイスと言います。

1つ目モノに「働きかける」、モノから情報を「受け取る」こと第一のインタフェースと言います。携帯であれば番号を入力する(働きかけ)、友人からのメールを受信する(受け取る)と言ったところが第一のインタフェースです。

 

2つ目モノが現実世界で問題解決ができるための、「物理世界とモノのやり取り」です。

携帯であれば、モノに人間の声が入り(電話する際、携帯を通すためケータイに話しかけることになる)、声が基地局や回線を通して相手に伝わる。

 

その際、相手に伝わる前、「基地局や回線といった物理世界を通っている」これを第2のインタフェースと言います。

 

このように携帯(モノ)と人間と物理世界で情報の流れが存在します。

この二段階の対話が存在し、それによって、モノを利用することができ

結果、モノが使えることで何らかの問題解決しているということになります。

 

このような認知の働きによって「使いやすい」という問題解決の面でのデザイン性

が機能していることがわかります。

 

高度な携帯やパソコンなどの電子端末は2重のインタフェースとなりますが、

アナログなコップ、ペンといったものは直接的に働けるため、

人工物(モノ)と人との接点が1つしかないことが多いです。

そのためインタフェースは1つになり、そのまま作用します。

 

ユーザの目線に立ち、デザインを考える上でインタフェースと呼ばれる情報の流れがあることを知っておくと、顧客目線を重視したデザインを考えられそうですね。

 

 

2.みてわかるデザイン

一眼で見てわかることを心理学用語でアフォーダンスと言います。

第一のインタフェース(モノから受け取る、モノに働きかける)において

モノを使うときに、『直感的に』どこに働きかけるか、上手く使えるモノなのか

「わかる」デザインになっていること。その重要な特性の1つがアフォーダンスです。

 

 

例えば、コップ。

 

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このコップを使うときに「取っ手に指をかけたのはなぜでしょう」

「直感的に指にかけるものだとわかること」がアフォーダンスの効果です。

 

このようにわかるのは人が知的だからという理由ではなく、

モノ自体に豊かな情報があるからという外的環境と人が直接反応し相互作用するからこそ

「使いやすいものだ」ということがわかる言えます。

 

人とモノが対話をすることで人の問題解決をしているというのも

わかるのではないかなと思います。

 

しかし、アフォーダンス効果の難しいところは、

「モノが行動を促す」属性を持っていると言いつつ、その属性は

「物自体が持っていて、いつでも同じように人に認識されるわけではない」

というところです。

 

対話することで問題解決しているというのが実はキーであり、

モノ自体が人を動かす属性を持っているわけではないのです。

モノが人を動かす属性を持っていて、「人がその行動を取ろうとしたとき」

初めて、コップの取っ手であれば、「ここを指にかけて使うモノだ」と知覚されるのです。

 

このようにモノと人の情報の流れと相互作用によって行動を促し、問題解決されます。

 

ですので、「問題解決」という側面からデザイン性を見たときに

良いデザインを心がけるにも、人の行動を引き出すアフォーダンスをいかに適切に

デザインできるかが大切になります。

 

どのようなデザインをすれば、人はどのように受け取って、問題解決可能な働きを

促せるか、人とモノの両側面から情報の流れをイメージできると良いデザインが考えられそうですね。