【デザイン】"物"は「昼向け」につくられる理由|認知心理学
身近ある物を人はどのように知覚するのでしょうか。
机、テーブル、衣服…ほとんどの物が「昼」を起点にプロダクトは設計されています。
なぜ「昼」中心に設計されているのか今回は認知心理学を用いて説明していきます。
1.物の見え方
人が物を認識するとき桿体と錐体と呼ばれる神経系の受容器を通して認識しています。
桿体は主に暗い時に機能します。光の強弱に高感度です。ただし、色覚に関与することはありません。
物の形はわかっても色の差異までははっきりとわからなかったりします。
錐体は明るい時に機能します。色に対して敏感に反応しますが、光を感じる感度は低いです。そのため、機能するには充分な光量を必要とします。
物の色がわかっても、光量に対して鈍感です。
多くの光量があったうえで桿体が機能し、色覚に反応できる錐体が機能すると言えると思います。
人間は昼夜とも良好に働く「視覚」を持ちます。
光量(明るさ)によって、物をどう捉えているのかは変化しますが、
昼夜で光量が変化する中、物を捉えられるのは
24時間かけて自転するため、そのサイクルにあった進化をとげているからと言われてます。
光量がゆっくり変化するため、それに合わせて視環境を適応させていくことができるため、
昼夜で光量が変化しても日常生活に問題がでません。
2.デザインは「昼」が起点
物のほとんどが「昼」を起点としてデザインされるのは、
夜は桿体が機能するため、暗い状況下では形の存在の認識が優先されます。
光量が少ない状態では、色を認識する錐体は働きにくく、モノクロの状態で物を捉えます。
昼を起点にプロダクトが設計されるのは、
光量が高くなければプロダクトの「色」を認識できる錐体が働かないからです。
光量(明るさ)が高い昼を起点としてデザインを考えれば、色があるプロダクトをつくること前提として考えられるので、ほとんどのプロダクトは昼を起点としてつくられていると考えられます。
プロダクトに色を使ってデザインを考える場合、光は必須の条件と言えます。
日中の光量をベースにプロダクトを作ることができれば、色に敏感な錐体が働いている日中(光量が高い)から自然な形で光量の低い夜へと視環境が適応していくことができます。
なので、色を認識する錐体が働きにくい夜でも、比較的色が認識しやすいデザインができるからと考えられます。
このように、プロダクト(物)は「昼」を起点にデザインすることで、夜に利用するものであっても、「昼」を起点にデザインを考えるとユーザーは暗い場所でも色を識別しやすいデザインを考えることができると言えます。
夜に使うプロダクトであっても、元々暗い状況下をイメージしてデザインを考えるより、
プロダクトを使うユーザー目線で考えると、「昼」を起点にしてデザインを考えられると使いやすいデザインを考えられそうですね。