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【実は意味があった!?】新歓をやる意味とは。|社会心理学

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コロナ禍で、サークルの勧誘なども例年よりも減ってきている近年ですが、

大学生にとって『新歓』という言葉は馴染みのある言葉なのではないでしょうか。

歓迎会や入社式、入学式も含めて、組織やコミュニティに属するときに

催しものが行われたりしますよね。

「新しく入ってくる人と仲良くするため」などもあるかも知れませんが、

社会心理学的に、組織に属するときの催し物、通過儀礼のようなものを

イニシエーションと呼び、これから属する組織に対して、個人から見た評価に

つながったりもします。

 

今回は、イニシエーションと呼ばれる、例えば「新歓」のようなものにどんな

意味があるのか見ていきたいと思います.

 

1.新歓(イニシエーション)と好意度

 

サークルの新歓など、組織やコミュニティに入るとなった際に行われます.

組織に対して時間の変容と帰属するかを見た集団社会化モデルによると

社会化期に行われます。

 

asakashinri.hatenablog.com

 

 

サークルで言えば、一気させられるなど「嫌なことする」というイメージがある人も

いるのではないでしょうか。

今回が、イニシエーション(新歓)の時に厳しいことをする(負担がかかること)と

これから入ってくる新人(ニューカマー)にとってどのように作用してくるのか

見ていきたいと思います。

 

実は、イニシエーションが厳しいほどこれから属する集団に対して「好意的に」見られた

という研究結果があります。

これは、同時期に入って同じイニシエーションを受けた同期との仲間意識を強める

のではないかと思います。

 

しかし、例外もあり、必ずしも新歓でインパクトあることをさせることが

集団に対して「入ってよかった」、「ここは良いところだ」などの

好意的なイメージを形成するわけではありません。

 

イニシエーションで新人に対して厳しい通過儀礼を行なったことで

組織に対して悪いイメージになったというデータもあるからです。

 

つまり、何でもかんでも新人に対して、帰属意識やこれから所属する集団を

好意的に捉えていてもらうために、「厳しいことをやればいい」わけではない

ということです。

 

通過儀礼を通して同期間で仲間意識が生まれたり、一緒に乗り越えたという意識を

持たせることで組織に対してポジティブな意識を持たせることができるのだと考えます。

 

 

2.新歓(イニシエーション)の意味

仲間意識を持たせることで組織に対して好意的に捉えるようになることは分かりましたが、

イニシエーションには他にどのような意味、位置付けがあるのでしょうか。

 

主に3つ働きがあるとされています。

 

①集団の境界線の明示 ②徒弟関係の明確化 ③忠誠心を見出す

 

この3つです。

集団の境界線の明示というのは、

イニシエーションがあることにより、組織に入る前とはいった後という

入る前の自分と、入った後の自分と言うように境界線を持たせることができます。

入学式がわかりやすいですが、今までは高校生だったけど、「入学式」があることで

「今から大学生だ」という意識を持たせることができるということです。

 

また、新歓などイニシエーションがあることで上下関係が明確化します。

これが徒弟関係の明確化です。

新入生と元々いる先輩で立場を明確化することで組織に対する帰属のしやすさも

かわっってきます。

 

最後に忠誠心をひきだすというのは、新歓などイニシエーションによって

どんな組織なのか、コミュニティなのか知っていくことができます。

上下の位置付けや、位置している人、文化を知ることで

組織に対する忠誠心ができるというわけです。

 

 

 

このように実は、お酒を飲んでいるだけというようなサークルの新歓にも

集団(コミュニティ・組織)としての役割があります。

これがあるかないかでも、組織に対する帰属意識が変わってくるからです。

 

そう考えると意味のないと一見思うような集まりなどにも意味があるというのが

分かったりする頃もありそうですね。