asaka|つかえる心理学

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【組織づくり】「やめる」「辞めない」の心理過程|社会心理学

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入社式やサークルの歓迎会…何か集団や組織、コミュニティに所属する際に

催し物は開かれることって多くないですか?

 

この意味がないかのように思える「歓迎会」や「入社式」が

組織の文化浸透や組織やコミュニティの価値観を浸透するのに良い位置付けになっている

のです。組織にコミットする上で個人は4つの決定を通っているということを知れば

現状個人にとってどの状態でどのように対応すべきかが把握できるのではないでしょうか。

 

社会心理学の観点から見ていきましょう。

 

 

1.新人を組織の一員としていてもらうには

組織が形成されていくには、人数が同じ組織に増えていくことで組織化、コミュニティ化

されていきます。

組織化、コミュニティを作っていくには、元々いるメンバーだけでなく

新しい人を入れていく必要性があります。

 

新しく入ってくれた人をコミュニティ、組織という「集団」に適応していくためには

どのような過程が必要なのでしょうか。

個人(新人)はどのようにして辞めていくのか、コミットするようになるのか

を説明していきます。

 

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個人が集団に属して活動に傾倒していくまで、に4つの決定の基準を通ります。

決定の基準が行われるのに、探索期、社会化期、維持期、再社会化期、回想期

存在し、時間的変容が起こっていくごとにそれぞれの時期に「決定の基準」

を個人が判断していきます。個人の判断によって活動にコミットし続けるか、やめるか

という判断をしていくことになります。

 

 

組織と4つの決定の基準

 

①EC(入会の決定)

探査期に「入会の決定」を検討することになります。予定メンバーとなる子が入会するかどうか検討しているという時期です。

集団となるような、企業、サークルなどで例えると、社員の募集、新入生の募集に当たります。

個人(入るか検討している人)は、実際にその集団(会社やサークル)にはいるかどうかを

下調べするという段階です。サークルであれば、見学・体験入部。企業であれば、説明会やインターンがこれにあたります。

集団に属するか、否かを決定する時期が探索期で、その決定を「入会の決定」と呼びます。

 

 

 

 

②AC(受容の決定)

社会化期と呼ばれるときに「受容の決定」をすることになります。

社会化期には「調節」と「同化」が行われます。

 

 

【以下:「調節」・「同化」については知能発達の三段会を参考にしてください。】

asakashinri.hatenablog.com

 

 

例えば企業やサークルでいう「歓迎会」がこれにあたります。

ここで企業(集団)側は、企業としての価値観やどんな組織なのか「歓迎会」などといった

イニシエーションでどんな人たちなのか、どんな組織なのかがわかります。

「集団(企業)」らしさを個人(新入社員)に知ってもらうことで、

 

『こういう人なんだ』と知る(同化)、『いや、この人はこういうところがあってね』と教えてもらう(調節)の繰り返しで、

集団(組織・コミュニティ)の文化、価値観、人柄を知るということができます。

これによって「受容できるか」というところで決定していくのが『受容の決定』です。

 

同化・調整がうまく行われれば、帰属意識が高まり受容され、この組織に対しての帰属意識が高まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

③DC(分岐の決定)

維持期では集団に馴染んできて、新人だった人が元々いるメンバーに

役割交渉などをしていきます。この段階は、1番コミットメント(集団に傾倒する)

が強い時期です。なので、集団に個人がメンバーとして馴染んできている状態です。

 

その中で、役割交渉が行われてきます。集団の中で役割があったとして、自分がやりたいこと

などがあった際に元々いるメンバーにお願いしたり、元々いるメンバーが役割を渡すと

いうこともあるかもしれません。

この時に、「自分がやりたいと思うこと」や「こうありたい」がうまく役割交渉があることによって次の段階に行きます。

ここでは、役割交渉が行われているという事実が大切です。

 

維持期が終わり役割交渉が行われると再社会化期に入ります。

役割交渉で自分が「継続して活動にコミットしたいか」、「辞めたいと思うのか」の

分岐点です。ここにきて「分岐の決定」が行われます。

役割交渉の中で自分が「ありたいようにあれるか」を調節・同化を繰り返し判断していきます。

うまくいけば、またACの状態に戻りコミットしていたいという意識になっていき、

うまくいかなければECへ行き、退会したいという流れになってきます。

 

 

 

④EC(退会の決定)

回想期と呼ばれ退会するとなった時には、追憶と言って他の集団(コミュニティ・組織)を

見つけていくことになります。そして元いた組織をさるという流れです。

 

 

 

このように個人が集団に馴染んで行き、継続してコミットしていくのか

もしくは、やめるのかというのはこのような経過があり、その中でも

4つの決定をしているということが判りました。

新しいメンバーを継続的にコミットしてもらうためは、どうしたらいいか

辞めたいとなった時にどう対応するとその人に対して嬉しいことなのか。

参考になることもあるのではないかなと思います。